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温める効果、冷やす効果

スポーツや日常で負傷すると、まず治療で行われるのが冷やしたり、温めたりする物理療法です。でも、どっちが正しいのか今一つ分からない方も多いのではないのでしょうか。

体にどのような作用をもたらすのかを理解することで、どちらが正しい処置になるのかを理解することができます。

今回は、温めや冷やしの作用効果を解説していきます。

1.体温を一定に保つしくみ

温めや冷やし効果を得るには、身体が一定の体温を維持する機能があるからこそ効果がある治療といえます。一定に保とうとする機能を逆手にとって、意識ではコントロールできない自律的な血管や神経などを治療に適した働きにコントロールします。

血管は血液を送る管です。大動脈のような大きな管もあれば、毛細血管のような小さな管もあります。ほとんどは赤血球で酸素を運びますが、免疫系やコレステロールやカルシウム、ナトリウムなど生体の維持に必要なありとあらゆる物質が運ばれています。

血管は運搬だけでなく、体温調節にも密接に関わっています。

からだの熱の外部への放散は、主に皮膚から行われます。逆に熱を産生させる器官は主に筋肉と肝臓です。

体内では絶えず栄養素の代謝が行われているので、その際に発生する熱によって体温は常に上昇する傾向にあります。通常私たちは体温より低い環境に住んでいるので、産生された熱は外部へ放散しています。

熱放散のイラスト図

内部の熱が皮膚へ移動する手段は伝導によっても行われますが、主役は血流による運搬です。

環境温が高いときは、皮膚血管が拡張して血流量が増すので、内部から皮膚へ運ばれる熱が増大し皮膚温も上昇します。そのため輻射、伝導、対流による熱放散量が増加します。

この反応は自律神経によって作用するので意識しなくても自然と行われる反応です。

動脈血は皮膚表層へ到達するまでに、冷たい静脈血に熱を与えながら流れるので、深部へいく静脈血は温められていて、表層にくる血液は冷やされています。

このように環境温が下がると、皮膚血管が収縮し、皮膚血流が減少して皮膚温も低下するので、輻射、伝導、対流による熱放散量は減少します。

熱伝導のイラスト図

これが血液による体温調節方法です。さらに寒冷時には、筋肉を”ふるえ”させ熱を発生させます。”ふるえ”とは筋肉を収縮させて熱を発生させる働きです。設定温度まで達すると”ふるえ”は止まります。

余談ですが、男性が冬の寒い中放尿をし、終わった時にブルブルっと震えた経験をしたことがあるのではないでしょうか。あれは尿と一緒に体温も奪われているので、ブルブルっと反射が起こるらしいです。少し体温を上げとこう的なものです。なぜだか女性にはないらしいです。不思議です。


2.温熱効果

負傷して体に痛い場所があったら、温めたり冷やしたりしますよね。ある病院では温めたほうがいい、ある病院では冷やした方がいいと真逆のこをを教えられて混乱した方もいると思います。

そもそも、なぜ温めたり冷やしたりすることが治療になるのでしょうか。体にはどのような作用があるのでしょうか。

温め、冷やしの効果はザックリいうと3つ効果があります。一つ目は血管系です。二つ目は神経系です。三つめは精神的作用です。

三つめの精神的作用は個人差があり、快か不快かはその人によるので、精神状態や感情、環境に左右されます。例えば、寒いと温かいほうが気持ちいいですし、暑いと冷たいほうが気持ちいいような感じです。

生体の反応としては、血管神経系の作用は一緒なので、この二つの要素について解説していきます。

温熱は、痛みを緩和させるために行いますが、痛みというのは神経が刺激されて脳へ伝わるパターンと、痛み物質が神経に作用して脳へ伝わるパターンがあります。損傷している患部は、組織などの破壊により両方のパターンで痛みとして脳へ伝わっています。

慢性痛の場合は、何らかの原因で痛み物質が影響していると考えられるので、温熱による循環の促進と痛覚の緩和が図られます。

温熱による循環の促進は、痛み物質を循環により取り除こう的なイメージです。
温熱による痛みの緩和は、痛みが電気信号により脳へ伝わることが関係しています。

それは物理的に、電気は温度が低いと伝わりやすく、温度が高いと伝わりにくい事と関係しています。

例えば、冬場と夏場で皮膚を叩いて痛みを起こさせた場合、冬と夏では痛み方が違いますよね。多くの方が冬場に叩かれた方が痛いと答えるかと思います。これが電気信号です。

温めることで神経の電気信号を伝わりにくくして痛みを緩和させることができるのです。

つまり温熱効果は、痛みの緩和と血液循環量の増大が主な目的です。


3.冷却効果

損傷して間もないと、身体は組織を修復させる反応をみせます。それは、損傷部位への血液成分の流入です。

例えば、近所で火事が起きたとしたら、消防車が火を消そうと放水しますよね。火は消えても家の中は水浸しで損傷が激しいみたいな。その後、大工さんが修復に来て元通りに直るみたいな。まさに同じ反応が生体で起こっているのです。

生体では炎症反応とよばれます。患部が損傷したら、修復するために消防車の放水のように血液成分が滲出して患部が腫れます。このとき水と一緒に大工さんも入ってきているので鎮火と修復が行われることになります。

患部の腫れが大きければ、それだけ破壊が大きく、それにより熱も発生します。腫れの目的の一つは熱を下げることなので、この時に外部から冷却してやると、生体は冷やす反応が必要ないので腫れが少なくすみます。

つまり冷却は、炎症を抑える効果が期待できるのです。火傷もそうですね。火傷をすると水膨れになるのは患部を冷やすためです。この時外部から冷却すると水膨れも小さくてすみます。

血管の透過性を促進させる生体物質にヒスタミンがあります。抗原抗体反応により分泌されるヒスタミンは、血管を弛緩させ血液成分を滲出させる役目があります。

身近なもので例えると、このヒスタミンを逆に阻害して一時的に症状を緩和させるのが点鼻薬です。アレルギーなどで鼻炎になると鼻水がドシドシ押し寄せてくるので、点鼻薬で一時的に症状を緩和させます。

あの成分は抗ヒスタミン剤で、血管を収縮させてヒスタミンの効果を阻害し一時的に鼻水を止めています。効果は1~2時間といったところです。

ケガなどにより組織が破壊されるとヒスタミンなどのように、血管透過性を促進させる物質が遊離されます。ケガの修復には欠かせない機能です。

温熱による効果は電気信号の性質上、痛みを緩和させる効果があると説明しました。しかし、急性期に温めると逆にズキズキ痛む経験をしたことがあるのではないでしょうか。

ケガをした急性期は、組織損傷による痛み物質の遊離による痛みが大きいためなのです。温冷痛覚は感知するセンサーが神経終末と一緒なので、損傷で熱をもった損傷部に熱を与えると更に痛みが増します。

キンキンに冷えた保冷剤などで直接冷やすのもタブーで、冷たいというより痛いと感じるようになります。治療で冷却する場合は、少し冷たく感じるほどの適度な温度でも効果はあります。

腫れる=冷やすと覚えるだけでも十分だと思います。

4.まとめ

以上の解説から簡単にまとめると、急性期は冷却、慢性期は温熱による治療が的確ということになります。少し掘り下げると、冷却は血管系への処置、温熱は血管系と神経系への処置と考えてもいいと思います。

ただ環境温で温熱と冷却の感じ方が違いますよね。例えば夏場に冷やすと気持ちいいですが、温めると不快になります。冬場に温めると気持ちいいですが、冷やすと不快になります。

治療には精神的影響がかなり大きいので、不快になるような治療は理屈が合ってても間違いだと思います。

ただ、急性期で腫れや出血がある場合や、患部に熱をもってる場合は暑い時でも寒い時でも冷却は必須です。

腫れや内出血がなければ、心が求めるままの治療でよいかと思います。迷ったり分からないかった場合は理屈を優先にして、ここの記事を参考にしてください。