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肥満

1.肥満とは

肥満とは、たんなる体重過多ではなく、厳密には身体を構成する成分のうち、脂肪組織の占める割合が異常に増加した状態と定義されます。

ただし、実際には体脂肪を正確に、しかも簡便に測定できる方法が一般的ではないので、身体あたりの体重がどれだけ過剰であるかによって肥満を判定しています。今後は、インピーダンス法などによる体脂肪測定法が普及すれば、体脂肪率そのものの測定が肥満の判定に応用されると考えられます。

現在では、BMI〔body mass index:体重(㎏) / 身長(m)2〕を体格指数として用い、BMIを22として標準体重は下記の式で求めます。

標準体重 = 身長(m)2 X 22

肥満度を(実測体重ー標準体重)/標準体重X100%で計算し、この肥満度が20%を上回るものを肥満と定義します。


2.病態生理

肥満には、原因となる疾患がない単純性(本態性)肥満と、内分泌疾患、視床下部疾患、遺伝性疾患などに随伴して生じる症候性(随伴性)肥満があります。

単純性肥満は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っていることによって起きます。食べ過ぎおよび運動不足が原因となります。

症候性肥満のうち内分泌性肥満は、ホルモンの作用で脂肪代謝に障害が起き、肥満となります。たとえばクッシング症候群では副腎皮質ホルモンが過剰に分泌され、脂肪同化作用が亢進し、脂肪組織に脂肪が蓄積します。脂肪の異化に作用する甲状腺ホルモンの不足によっても肥満となります。これは甲状腺機能低下症で認められます。副腎皮質ホルモン剤を長期間にわたって使用している人でも、脂肪組織が増えます。


3.肥満をきたす主な疾患

もっとも多いのは単純性肥満です。症候性肥満をきたす主な疾患は下表に示します。

肥満の分類と主な疾患
分類主な疾患
単純性肥満
症候性肥満内分泌性肥満クッシング症候群、インスリノーマ、甲状腺機能低下症
視床下部性肥満間脳腫瘍、フレーリッヒ症候群
遺伝性肥満ローレンス・ムーン・バーデット・ビードル症候群
薬剤副腎皮質ステロイドホルモン剤使用

4.対策

単純性肥満ではカロリー制限を基本とする食事療法と、運動を行う運動療法を実行します。

症候性肥満の場合には診断を確定し、それぞれの原因に応じた治療が必要となります。たとえば、副腎腫瘍で副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されるクッシング症候群では、副腎腫瘍を外科的に手術する必要があります。

甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモン剤を使用して治療します。


やせ

1.やせとは

体内の脂肪組織、ならびに筋肉や骨などの徐脂肪組織が減少し、体重が著名に低下した状態をいいます。肥満度が-20%以下である場合をやせと判定することが多い。


2.病態生理

やせは、肥満の場合とは逆に、摂取エネルギーが消費エネルギーを下回ったことによって発生します。

やせにも、食事摂取が少ない単純性やせと、なんらかの基礎疾患があって生じる症候性やせがあります。極端なダイエットをしているわけでもないのに、1か月1㎏以上も体重が急激に減少するような場合には、基礎疾患の存在を疑って慎重に対処しなければなりません。

症候性のやせの原因は、大きく分けて次の三つがあります。

第一は、摂取エネルギーが減少している場合です。これには

  1. 精神的な原因や、消化器疾患で食事そのものを十分に摂らない
  2. 食べてはいても十分に消化・吸収できない
  3. 糖尿病肝硬変などで十分に利用できない場合
などがあります。

第二は、エネルギー需要が亢進している場合です。感染症悪性腫瘍で代謝が亢進したり、甲状腺ホルモンの過剰分泌などが原因となります。

第三は、エネルギーが体外へ喪失してしまう場合です。ケガ熱傷などで滲出液や漏出液が体外へ出たり、蛋白質が消化管から漏出してしまうような場合です。


3.やせをきたす主な疾患

やせのなかでは、基礎疾患のない単純性やせがもっとも頻度が高い。症候性やせをきたす疾患は数多い。

やせの病態生理と主な疾患の表

これらのうち、消化器疾患、悪性腫瘍、糖尿病、甲状腺機能亢進症、精神神経疾患などの頻度が高い。


4.対策

単純性やせでは食事摂取量の調整を行います。症候性やせでは原因となる疾患を診断し、それぞれに対応した治療が必要となります。