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循環器疾患

我が国の3大死因の一つである心疾患のうちでも心筋梗塞、狭心症が増加していますが、その治療はバルーンによるPTCA(経皮的冠動脈再建術)に加えてステントなどの新しい治療法が紹介されました。抗生物質と副腎皮質ステロイド剤の普及により、細菌性心内膜炎、リウマチ熱が弁膜症を生ずることなく治療できるようになり、弁膜症患者が少なくなりました。

不整脈については新しい薬剤が開発され治療が容易になりましたが、まだ十分な効果を発揮できない不整脈もある一方、人工ペースメーカーの装着が容易になり治療に貢献しています。

高血圧症の治療も新しい薬剤が開発され、従来のサイアザイド利尿薬、ラウウオルフィア剤、β遮断剤から、現在の主流派はACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤とカルシウム拮抗剤となりました。

1.総論

【主要症状】

  1. 胸痛・胸部不快感
    左前胸部から真中にかけて痛みや圧迫感などを生じます。心筋梗塞狭心症などで発作的にみられる症状です。心膜炎解離性大動脈瘤などでもみられます。

  2. 動悸
    動悸は胸がどきどきする感じをいいます。心拍数の増加、不整脈などにより生じます。

  3. 呼吸困難
    息苦しい感じから、呼吸動作が難しい場合をいいます。仰臥位より起坐位をとると楽になる場合を起座呼吸といいます。動作をすると呼吸困難が起こる場合を労作性呼吸困難といいます。
    心臓疾患ではしばしば夜間に呼吸困難が突然起こることがあり、これを夜間発作性呼吸困難といいます。

  4. 失神発作
    脳の虚血によって一過性に意識を失う場合をいいます。心臓性のものをアダムス・ストークス(Adams-Stokes)症候群といい、洞不全症候群、房室ブロック、心房細動、心室頻拍などで生じます。大動脈弁疾患、肥大型心筋症でもみられます。
  5. アダムス・ストークス症候群
    心拍調律の急激で著しい変化の結果、脳虚血のために、めまい、意識消失、けいれんを起こす場合。

  6. 浮腫
    むくみ”といわれるもので、額、足のすね、足背を指で押すとくぼむ状態になります。
    心臓による場合は下肢、足背に生じます。

  7. 心肥大
    心臓が大きくなる場合には拡張肥大があります。
    心拡張は心臓の内腔が拡張して大きくなる場合です。
    心肥大は心筋が肥大する場合をいい、心臓の内腔に向かって肥大する場合は心臓は大きくありませんが、外側に向かって肥大する場合は大きくなります。心臓に圧負荷のかかる弁膜症や高血圧症の場合にみられます。


先天性心疾患

1.心房中隔欠損

【概説】
心房中隔が閉鎖しないことにより欠損孔が生じた場合です。左房から右房への血流が流れるため、右心系に負荷を生ずるので右心房、右心室の拡張をもたらします。

心房中隔欠損模型図

【診断】

  1. 自覚症状
    労作性呼吸困難、息切れ、動悸、易疲労性などの症状がみられます。低血圧を生じます。
  2. 検査
    1.肺動脈領域で収縮期雑音が聴かれます。
    2.心エコー図で右室拡大、心室中隔の奇異性運動、僧帽弁異常運動をみます。

【治療】

  1. 短絡量が50%以上の場合が多く、手術の適応となります。
  2. 短絡量が50%以下の場合は手術の適応ではありません。

【予後】
短絡量の少ない場合は良好です。短絡量の多い場合はうっ血性心不全、肺感染症、細菌性心内膜炎を起こしやすい。


2.心室中隔欠損

【概説】
心室中隔膜様部、筋性中隔の発育不全により、心室中隔に欠損孔がみられる場合です。左室から右室へ血液が流れるので、右室も左室も拡張肥大します。

心室中隔欠損の模式図

【診断】

  1. 自覚症状
    欠損孔が小さい場合〔ロジェ―病(Roger disease)という〕は自覚症状もなく、発育も正常です。欠損孔が大きい場合は小児期に死亡することが多い。

  2. 検査
    胸骨左縁で強い収縮期雑音が聴かれます。スリル(thrill 振戦、手で雑音を触れる)を伴います。胸部X線検査は軽症では所見がみられませんが、中等度以上では肺動脈拡張、肺血管陰影増強、左室拡大の所見がみられます。侵襲を伴う検査ですが、治療方針を決定するために右心カテーテル検査が必要となります。

【治療】

  1. ロジェ―病は治療の必要はありません。
  2. 短絡量の多い場合は小児では手術を行います。
  3. 幼小児期に自然治癒する例もみられます。

【予後】
ロジェ―病は良好ですが、短絡量の多いものは不良です。


3.ファロー(Fallot)四徴症

【概念】

  1. 肺動脈狭窄
  2. 心室中隔欠損
  3. 大動脈騎乗(大動脈が右のほうに寄って、左心室と右心室の両方にまたがってついている)
  4. 右室肥大
の四つの特徴をもつ心臓の奇形です。
1.2.は本質的な病変で、3.4.は二次的なものです。

肺動脈狭窄があるので右心室の静脈血が流れにくく、大部分が心室中隔の欠損孔を通って左心室へ流れます。また大動脈騎乗があるので、右心室から大動脈に血液が流れます。
このようにして大動脈血に右心室からの静脈血が大量に混じるので、チアノーゼを生じます。

心室中隔欠損の模式図

【診断】
自覚症状

  1. 症状は生まれてすぐ現れることもありますが、多くは2~3ヵ月後にチアノーゼが現れます。ふだんチアノーゼがなくても泣いたり、哺乳するときにチアノーゼが現れることがあります。後には、頬、唇、手指など全身にチアノーゼが現れます。歩行にさいしてうずくまる姿勢がみられます。
  2. 太鼓ばち指、動悸、呼吸困難、失神、痙攣などがみられます。

検査
  1. 胸部X線検査では心臓は右室肥大で、木靴心といわれる形を呈します。肺血管陰影が減少します。
  2. 心カテーテル検査:カテーテルが右室から左室、あるいは直接大動脈に挿入できることがあります。酸素飽和度の低下が動脈でみられます。

【治療】
ほとんどすべての例で手術の適応となります。

【予後】
手術のできないものは不良です。