サイト科院

ヘッダーイラスト

 

  1. ホーム  >
  2. 整形外科学  >
  3. 開放・疲労・病的骨折、関節損傷

1.開放骨折

1.定義
  1. 骨折部の皮膚が損傷され、この皮膚創傷と骨折部が交通するものを開放骨折 open fractureといいます。

  2. 開放骨折は、感染の危険性が高く、骨折修復過程にも不利な点が多い。

  3. 開放骨折と複雑骨折、閉鎖骨折と単純骨折は同義語です。骨折線がどのように複雑であっても、外界との交通がなければ単純骨折ですが、このような表現はともすれば混乱を招くので、複雑骨折、単純骨折という名称は用いない方がよい。

2.治療
    治療の最大の目的は感染の予防であり、なるべく縫合または植皮などで創を閉鎖します。
  1. 前述した創傷処理にのっとり、創傷の清浄化をはかります。

  2. 皮膚血管があったり創緑皮膚に緊張が生じる場合には、減張切開や各種の植皮術(中間層植皮、回転皮弁など)を行い、創を閉鎖します。
  3. 開放創に対する減張切開と回転皮弁のイラスト

  4. 骨折の処理:golde hour(受傷後6~12時間以内に完全な創処置をすれば感染を起こすことは少ない。この安全時間をgolde hourといいます)内でデブリードマンdebridement(創傷部の清掃)が完全に行われたのちは、原則的には皮下骨折と同様にただちにネジなどを用いて固定しても感染の危険はほとんどありません。しかし骨折部に大きな固定材料を残すことは好ましくないので、しばしば創外固定法が行われます。

  5. golde hourが過ぎ、しかも汚染が著明な場合には、デブリードマンの後、開放創のままにとどめ、二次的に創を閉鎖します。このような場合にも創外固定法は有用です。

3.疲労骨折・病的骨折

疲労骨折の画像

1.疲労骨折

  1. 比較的弱い外力が骨の同一部位に繰り返し加わると、金属の疲労現象のごとく、その部位に骨折が生じます。これを疲労骨折といいます。

  2. スポーツなどの繰り返し外力による骨折。

  3. 骨折線と同時にその周囲に反応性骨硬化像が現れます。

  4. 脛骨、腓骨の骨幹部、中足骨、肋骨は好発部位

疲労骨折のX線画像のイラスト

2.病的骨折
骨自体に腫瘍、骨髄炎などなんらかの病変があって、正常な骨であれば骨折しない程度の外力によって骨折を生じる場合を病的骨折といいます。


4.骨折の合併症

1.骨折治癒遅延因子

  1. 感染:感染の有無が、骨癒合が得られるか否かに大きく関与しています。開放骨折の治療にあたって感染防止が第一の目標です。また、閉鎖骨折を手術する場合、手術で感染を起こさせないよう十分な配慮が必要です。

  2. 骨折端の状況:大きな骨欠損部があったり、骨折端に筋肉などの軟部組織が介在して骨折端が互いに相接することができなような場合には、骨折治癒が障害されます。

  3. 骨折線の状況:骨折線に適当な圧迫力が加われば骨折治癒は促進され、骨片間に離開、ずれ、回旋力、剪力が作用するようなときは治癒が遅延します。また長管骨横骨折のように、骨折部の接触面積が少ないときにも治癒は遅い。

  4. 骨折部血行状態:血行状態がわるく、軟部組織の損傷が大きいときは、骨折治癒がわるい。解剖学的に骨折部血行が遮断されやすい部位、たとえば大腿骨頸部、脛骨中下1/3、手舟状骨、距骨などの骨折では治癒が遅延することが多い。
  5. 骨折により骨片への血行が遮断され、治癒しにくい代表的な骨折のイラスト

  6. 整復・固定が不適当な場合:整復が不完全であったり、固定が不十分である場合にも骨癒合が遅れます。

  7. 過度・長期にわたる牽引のしすぎ:牽引とくに直達牽引を過度に長期にわたって行うと骨折端に圧迫力が加わらないために治癒機転が阻害されます。

  8. 不適当な手術:手術操作が不適当な場合、たとえば骨膜や軟部組織に対する過度の損傷、固定力不十分な内固定材の使用、術後感染など、すべて骨折治癒を阻害します。

  9. これらの局所的要因に加え、全身状態がわるければ骨折治癒もわるい。

2.遅延治癒骨折 delayed union

  1. 骨折治癒機転が遅れた状態をいいますが、まだ骨癒合の可能性はあります。前述の骨折治癒阻害因子のいずれかが存在し、骨化傾向が遅れます。

  2. 強固な固定がなお続けられたり、骨折端の骨穿刺術など適切な処置を行えば、骨化機転が進行して骨癒合が得られる可能性がります。

  3. しばしば偽関節に移行します。

3.偽関節 nonunion

  1. 骨折端に骨癒合機転がまったく消失した状態をいいます。
  2. 骨折端の間は瘢痕組織で埋まり、骨性の連絡が断たれ、骨髄開口部は閉鎖していたり、断端が委縮・硬化しています。
  3. 異常可動性がみられ、断端が結合組織性の関節包様組織で包まれ、中には滑液様の液体も存在し、あたかも新関節が形成されているかのような状態もあります。
  4. なんらかの手術的療法が必要です。骨折端を新鮮化して自家海綿骨移植をし、強固な内固定を行います。
  5. 好発部位は遷延治癒骨折と同じく、大腿骨頸部内側骨折、脛骨中下1/3の骨折、前腕両骨骨折、手舟状骨骨折などです。

偽関節のイラスト

4.変形治癒骨折

  1. 骨片転位を残したままで骨癒合が完了した状態。
  2. 変形の程度と機能障害は必ずしも平行しない。外観上の変形とともに隣接関節の運動障害など機能障害を残すことが多い。

5.過剰仮骨形成

  1. 骨折治癒過程で余剰にできた仮骨が吸収されない状態

  2. 原因として仮骨形成刺激が大きなためです。たとえば広範囲に骨膜が剥離されたとき、固定が不十分で骨折部に力学的刺激が繰り返し加わるようなとき、慢性の炎症機転が存在するときなどです。

  3. 過剰仮骨形成は、骨折治癒になんらかの悪条件が存在することを示唆するもので、早急に適切な対策を立てる必要があります。

大腿骨骨折の観血的整復後にみられた過剰仮骨形成のイラスト

6.骨化性筋炎

  1. 骨折に伴う筋や靭帯などの軟部損傷の挫滅が著しく、出血が大でこれが器質化して異所骨形成をきたします。

  2. 骨癒合完了後、拘縮除去のために暴力的な矯正が行われ、軟部組織が損傷され出血が生じて器質化し、異所骨形成をきたすことがあります。もっともよくみられるのが、小児上腕骨下端部骨折後、粗暴な徒手矯正を受けた場合です。

  3. 異所性骨化が関節運動を制限しているときは異所的骨化機転の鎮静を持って(少なくとも1年以上)異所骨を手術的に除去します。

7.Sudeck骨萎縮

  1. 骨折や外傷後、X線増で急速に骨委縮が出現することがあり、急性反射性骨萎縮(Sudeck骨萎縮)と呼ばれます。
  2. 手関節部の外傷、骨折に連続することが多い。
  3. 自律神経障害をきたすこともあり、温熱・運動療法や交感神経ブロックで血液循環をよくします。

骨萎縮
骨の添加作用と吸収作用は常に平均して進行しますが、添加機能が停止して、吸収作用が行われる場合に発生し、すでに形成された骨組織が次第にその面積を縮小して、同時にその機能が低下していく状態をいいます。
骨の萎縮像は長期固定の結果、X線経過上ほとんどの症例でみられ、一般的には、このような骨萎縮像は後療法の経過とともに改善していきます。

ズデック(Sudeck)骨萎縮
有痛性骨萎縮で骨損傷や四肢外傷後に四肢末梢部に起こりやすく、コーレス(Colles)骨折、踵骨損傷後によくみられます。
小動脈の血管攣縮によるもので交感神経障害と考えられていて、他に心因性因子も関係していると考えられています。

5.関節の損傷

1.関節捻挫と関節靭帯損傷

  1. 関節に外力が加わり非生理的な過度な運動が強制された場合、関節包や靭帯など関節支持組織に断裂などの損傷が生じます。これを捻挫といいます。
    脱臼のような関節面相互間のずれはありません。

  2. 捻挫のなかには脱臼を起こしたあと自然整復されたものも含まれます。

捻挫のイラスト

2.外傷性脱臼

1.定義と分類

  1. 外傷性脱臼は、先天性脱臼、病的脱臼、麻痺性および痙性脱臼などどは異なり、関節包を含む支持組織に断裂があって、その裂隙から骨頭が関節包外に逸脱します。
  2. 骨頭と関節窩との適合が完全に失われたものを完全脱臼、部分的に両面の一部が接触しているものを亜脱臼といいます。

2.症候と診断

  1. 腫脹、変形、疼痛、機能障害など骨折と同じような症状が現れるほか、患肢はそれぞれの脱臼に特有な強制肢位をとり、これを他動的に動かすとわずかに動くが、力を抜くとまたもとの肢位に戻ってしまうという現象がみられます。これを弾発性固定といい、特有な強制肢位とともに外傷性脱臼にみられる特徴的所見です。

  2. 脱臼(完全脱臼)と亜脱臼との鑑別はX線検査により通常は容易に行われます。

肩関節脱臼のX線画像

亜脱臼と脱臼のイラスト

3.治療

  1. 外傷性脱臼の整復はなるべく早く行わなければなりません。その理由として、脱臼のままでは疼痛、機能障害などの症状が強いこと、時間とともに次第に整復しにくくなること、整復が遅れると機能障害を残しやすいことなどがあり、骨折に比べはるかに緊急を要します。
  2. 通常、麻痺により疼痛を除去し、筋弛緩をはかれば整復は容易です。

4.合併症

  1. 骨折
  2. 神経・血管損傷、たとえば、
    1. 肩関節脱臼の際の腋窩神経損傷
    2. 股関節後方脱臼のときの坐骨神経損傷
    3. 膝関節後方脱臼の際の膝窩動脈損傷など。

  3. 骨の阻血性壊死:脱臼や骨折により骨頭骨片への血行遮断によって起こります。したがって解剖学的に血行が遮断されやすい部位、たとえば股関節脱臼後の大腿骨頭壊死距骨脱臼骨折後の距骨体部の壊死などです。

5.機能障害

  1. ときとして整復路に腱、筋、関節包などが介在して整復不能の場合があったり、また関節包の裂隙部で骨頭が締めつけられ整復がなされない場合などがあり、これらを整復障害と呼んでいます。
  2. 整復障害のあるものや陳旧例で徒手整復が不能なんときは、観血的整復術(手術)を行います。
  3. 通常麻酔により疼痛を除去し、筋弛緩をはかれば整復は容易に行われます。

3・反復(習慣)性脱臼

  1. 軽微な外力によって、繰り返し脱臼が生じるものを反復(習慣)性脱臼といいます。
  2. 外傷性脱臼に続発するものが大部分で、最初の脱臼後の固定期間が短いと反復(習慣)性脱臼になりやすい。
  3. 反復(習慣)性脱臼は肩関節に多く、若年者に好発します。
  4. また自分の意志で、自己の筋力を働かせて自由に脱臼を起こすことができる場合、随意性脱臼と呼びます。
  5. 反復性脱臼 recurrent dislocationは、厳密な意味では習慣性脱臼 habitual dislocationとは区別して使われ、習慣性脱臼は外傷要因がはっきりしない場合をいいます。

4.病的脱臼

  1. 外傷性脱臼と異なり関節包には断裂がなく、感染による膿で関節内圧が異常にたかまって骨頭が押し出されたり、関節破壊のために生じた脱臼です。

  2. たとえば急性化膿性股関節炎や股関節結核など。