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部位別スポーツ外傷・障害

  1. スポーツ実施中に瞬時の強い外力、筋力、または、非生理的な関節運動などにより発生する疾患をスポーツ外傷と呼び、同じスポーツを長い期間続けることにより、過度の練習や、軽い外傷の繰り返しで徐々に発生する疾患をスポーツ障害と呼びます。

  2. スポーツ疾患の発生頻度および部位はスポーツ安全協会が調査した6万6154例の統計(1993年)によると、手指が18.7%でもっとも多く、次いで、足関節14.1%、10.5%、下腿7%、足部5.6%、アキレス腱部3.9%で、手・膝・下腿・足に多く、その他の部位は3%以下です。

スポーツで発生しやすい外傷・障害には次のようなものがあります。

  1. 頸部:  
    下部頸椎脱臼骨折、捻挫、頸肩腕症候群、頸椎ヘルニア上腕神経叢麻痺

  2. 腰背部:  
    胸腰椎部圧迫骨折、または脱臼骨折、肋骨骨折、腰椎横突起骨折、捻挫、腰痛症腰椎分離症腰椎ヘルニア

  3. 肩甲部:  
    鎖骨骨折、上腕骨近位骨端線開離肩関節脱臼、肩鎖関節脱臼、反復性肩関節脱臼、肩関節亜脱臼、肩関節唇断裂、肩腱板断裂、腱板炎、上腕二頭筋長頭腱鞘炎、頸頚腕症候群、腋窩神経麻痺、肩甲上神経麻痺

  4. 上腕・肘:  
    上腕骨骨幹部骨折(投球骨折)、上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折、肘頭骨折、橈骨頸部骨折、橈骨頭脱臼、肘関節脱臼、肘関節内側側副靭帯損傷、離断性骨軟骨炎、上腕外上顆炎(テニス肘)、内上顆炎(ゴルフ肘)、肘部管症候群変形性関節症

  5. 前腕・手:  
    前腕骨折、Colles骨折、舟状骨骨折、Bennett骨折、中手骨骨幹および頸部骨折、指骨骨折、前腕骨疲労骨折、尺骨頭脱臼、月状骨または周囲脱臼、指関節脱臼、スキーサム(第1中手指関節尺側靭帯断裂)、近位指関節撓側側副靭帯断裂、突き指、TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷、手関節捻挫、バネ指腱鞘炎

  6. 骨盤・股関節:  
    上、下前腸骨棘剥離骨折、小転子剥離骨折、大腿骨頸部疲労骨折、恥骨結合開離、恥坐骨結合部疲労骨折、バネ股

  7. 大腿・膝関節:  
    膝蓋骨骨折、脛骨高原骨折、関節内骨軟骨骨折、膝蓋骨脱臼、亜脱臼症候群、大腿四頭筋損傷、膝関節捻挫、十字靭帯断裂内側側副靭帯断裂半月板断裂、膝関節血腫、膝打撲、離断性骨軟骨炎、ジャンパー膝、Osgood-Schlatter病、膝関節痛、骨化性筋炎

  8. 下腿:  
    脛骨骨折、脛腓骨疲労骨折、腓腹筋肉ばなれ、下腿打撲、挫創、脛骨疲労性骨膜炎(シンスプリント)、脛骨前症候群

  9. 足関節部:  
    内・外果骨折、足関節内骨軟骨骨折、アキレス腱断裂、前距腓靭帯断裂、足関節捻挫、長腓骨筋腱脱臼、離断性骨軟骨炎足根管症候群、距骨絞扼性外骨腫、アキレス腱炎

  10. 足:  
    踵骨骨折、中足骨骨折、第5中足骨基底部骨折、中足骨疲労骨折、リスフラン関節脱臼骨折、足捻挫、足底腱膜炎、偏平足、外反母趾、有痛性外脛骨、陥入爪

競技別スポーツ外傷・障害

1.陸上競技

  1. ランニング、跳躍、投てき動作によって受傷するが、外傷・障害の種類や頻度は種目によって異なります。
  2. 短距離走ではアキレス腱断裂や肉離れ(大腿四頭筋、ハムストリング、腓腹筋)が好発し、ときに大腿直筋や大腿筋膜張筋起始部の剥離骨折を起こします。
  3. 長距離走では脛骨、腓骨、中足骨の疲労骨折や脛骨前筋症候群を起こしうる。
  4. 上記の他に、腰痛腰椎分離症、ジャンパー膝、シンスプリント、アキレス腱炎、変形性膝関節症などが発生します。
  5. 跳躍選手では、上記の外傷、障害を起こすが、膝、足関節の捻挫や靭帯損傷が多い。
  6. 投てきでは肩・肘の捻挫、肩腱板損傷、肘変形性関節症、腰痛などが多い。

2.体操

  1. 体操選手でもっとも多い損傷は足関節捻挫であり、次いで腰痛、膝内障(膝前十字靭帯断裂が多い)です。他にシンスプリント、アキレス腱炎、足底腱膜炎などもみられます。
  2. 床運動では頸椎捻挫、打撲、鉄棒や吊り輪では落下時に胸腰椎の骨折を起こすことがあります。
  3. 跳馬、鉄棒、吊り輪では肩・肘の損傷も多く、肩・肘脱臼、肘内側側副靭帯損傷、変形性関節症が発生します。

3.柔道

  1. 格闘技であり、投げ技、寝技、関節技、押さえ込みによる外傷が多い。
  2. 投げられたときに発生する外傷としては、頸椎捻挫、鎖骨骨折、肩鎖関節脱臼、肩、肘脱臼、肋骨骨折などがあります。
  3. その他に膝捻挫、靭帯損傷、足関節捻挫、前距腓靭帯断裂、腰捻挫、耳介の血腫、下腿打撲、内出血、手指の骨折、脱臼などが発生します。

4.水泳

  1. もっとも多い障害は肩痛であり、二頭筋長頭腱炎や肩の内旋運動に伴い、棘上筋と烏口肩峰靭帯の摩擦で起こる肩前面の疼痛で、これを水泳肩と呼びます。
  2. 水泳で起こすもっとも重篤な外傷は飛び込みで、水深の浅い水底に頭部を強打し、そのさいに発生する頸椎脱臼骨折、頸髄麻痺です。
  3. 他には腰椎やゴールダッチのさいの突き指などがあります。

5.スキー

  1. 滑走中の転倒事故では膝関節捻挫がもっとも多い。とくに、前十字靭帯、内側側副靭帯が多い。
  2. その他には、足関節捻挫、ブーツの上端がテコの支点となる脛骨骨折、エッジでの切創、氷上での転倒や転落によるColles骨折、胸腰椎骨折。ストックを握ったまま転倒し、バンドで母指の外転が強制されて発生する第1中手指関節尺側靭帯断裂(スキーサム)などがあります。

6.野球

  1. 投球動作は肩、肘、腰に大きな負担を与えます。
  2. リトルリーガーズショルダーの画像

  3. Cocking phaseでは肩は90度外転、過外旋するもので、肩の前方部分の障害、すなわち前方関節唇断裂、前方亜脱臼、二頭筋腱炎、腱板炎などが発生します。

  4. Acceleration phase:ボールが手から離れるまでの投球動作で、肩には強い内旋力が働き、上肢全体が鞭のような形になり、肘には強い外反力が作用します。
      上腕骨螺旋状骨折投球骨折)、骨端線損傷Little leaguar's shoulder)、関節唇損傷、前方亜脱臼、腱板断裂、上腕骨内側上顆炎、内側上顆骨端核障害(Little leaguar's elbow)、肘内側側副靭帯、肘離断性骨軟骨炎、変形性肘関節症が発生します。
  5. ベネット病変の画像

  6. Follow through phase:ボールをリレーズした後は肩には牽引力が働き、上腕三頭筋付着部の疼痛や骨棘形成をきたします(Bennet症候群)。肘は回内しながら前方に振りだされるので、肘の離断性骨軟骨炎変形性関節症の原因となります。
      捕球、衝突、スライディング、デッドボールなどでも全身の打撲、膝・足関節・足の捻挫、腓腹筋肉離れ、リスフラン関節脱臼、突き指などが発生します。
  7. その他に腰痛腰椎分離症、四肢の筋肉痛、関節痛も多い。

7.サッカー

  1. タックルでは相手とからみあってボールを蹴りあったり、転倒したりするので膝・足関節の捻挫が多く、前十字靭帯、内側側副靭帯、半月板断裂、外・内果骨折、足関節外側靭帯断裂を起こします。
  2. ヘッディングでは顔面挫傷、鼻骨、頬骨、下顎骨折を起こします。
  3. キックでは絞扼性外骨腫(足関節の過度の背屈により脛骨下端前面と距骨頸部が衝突し、骨棘、疼痛を発生します)、内果疲労骨折、腓骨筋腱脱臼など。
  4. その他、腰痛、腰椎分離症腰椎ヘルニアアキレス腱炎 および断裂オスグート病有痛性分裂膝蓋骨、下腿骨骨折、中足骨疲労骨折などがあります。

8.テニス

  1. サーブ、スパイク、レシーブ動作はすべて手に衝撃的な力が加わるので、手指の捻挫、骨折、突き指などが多い。
  2. ジャンプ、転倒やoveruseによって、腰痛、腰椎分離症、肩肘関節痛、手舟状骨骨折、シンスプリント、アキレス腱断裂アキレス腱炎、足関節捻挫、果部骨折などが発生します。

9.バスケットボール

  1. ダッシュ、ストップ、ジャンプ、ターンを激しく繰り返すスポーツであり、かつ、他のプレーヤーとの衝突、転倒も多いので、種々の外傷、障害が発生します。
  2. もっとも多いのは足関節捻挫(外側靭帯断裂)であり、次いで膝内障(前・後十字靭帯、内側側副靭帯、半月板断裂)、ジャンパー膝、アキレス腱炎、足底腱膜炎、肩板断裂、腰部捻挫などがみられます。

10.ラグビー

  1. タックルやスクラム崩れでは、まれに、頸椎脱臼骨折、頚髄麻痺のような重篤な外傷が発生します。
  2. 多彩な損傷が多発するが、頻度の多いのは、顔面損傷、膝捻挫(前十字靭帯内側側副靭帯断裂など)、足関節部捻挫(前距腓靭帯断裂など)、果部骨折、腰ヘルニア、腰椎分離症、肩・肘脱臼、大腿四頭筋肉ばなれなどです。

11.ゴルフ

  1. コンタクトスポーツではないので、外傷は少ない。
  2. 障害としては、スウィングでの肋間筋などの反復収縮による肋骨骨折、上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)、肩・手関節痛、クラブを握ることによるバネ指、体軸を捻る動作でスウィングするための腰痛などがあります。

予防法

  1. 全身の筋力強化とストレッチ体操を日常的に実施し、筋力と筋持久力の強化に努める。
  2. スポーツの前の十分な準備運動を行う。
  3. スポーツの継続時間、練習の頻度などを考慮し、overuseにならないように適度に行う。
  4. 科学的なトレーニングの方法を実行する。
  5. 靴、用具、装備など適切なものを使用する。
  6. 状況によってはトレーナーや医師との綿密な連携のもとに練習の計画をたてる。
  7. 症状がでたときは、放置せずにスポーツの中止を含む適切な処置、治療を行う。

応急処置

  1. 四肢の打撲、捻挫、内出血などにはRICE療法を行う。
    R:rest(安静
    I:icing(冷却)氷やアイスパックで20~30分冷やす。またはコールドスプレーを使用する。
    C:compression(圧迫)弾性包帯などで圧迫、固定する。圧迫は強すぎないようにする。
    E:elevation(挙上)患肢を高くして静脈還流を促進し、腫脹を防ぐ。
  2. 長骨皮下骨折に対しては、副木、または、その代用品で患肢を固定する。
  3. 開放創からの大量の出血に対しては、創の中枢部をゴムバンドなど圧迫し止血する。
  4. 頸椎、胸腰椎の骨折や脱臼骨折に対しては、脊椎が動かないようにして、硬い担架や戸板の上にのせて搬送する。