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非感染性軟部・関節疾患

1.筋・腱付着部症

  1. 筋、腱が骨に付着する部位、とくに骨が突出している部位は炎症を起こしやすい。
  2. 力の支点になるため、繰り返しの運動により機械的炎症が生じます。
  3. これらの部位は滑液包炎(bursitis)の好発部位でもあります。
  4. 前腕伸筋群付着部位である上腕骨外側上顆炎(いわゆるテニス肘)は代表的です。このほかアキレス腱付着部脛骨粗面足底腱膜炎の踵骨付着部などに発生します。

2.腱鞘炎 ten〔d〕osynovitis《腱周囲炎;腱鞘滑膜炎》

  1. 腱は腱鞘、pulley(滑車)や線維性の支帯により包まれています。
  2. 腱が腱鞘の狭窄部位や骨の膨隆部の上を滑動するとき摩擦を生じやすい。
  3. 手指の腱、腱鞘は外傷を受ける機会も多く、直達外力や摩擦による出血、浮腫を生じやすい。
  4. 手指のMP関節部に生じるバネ指や橈骨茎状突起先端に生じるde Quervain病は代表的です。
  5. リウマチ痛風でも腱鞘炎が起こりやすい。
  6. 安静、冷湿布、鎮痛消炎剤、局所ステロイド注射などが行われます。
  7. 狭窄性腱鞘炎の重症例では腱鞘切開が行われます。

3.滑液包(嚢)炎 bursitis《粘液包(嚢)炎》

  1. 骨の隆起部の表面あるいは腱が骨に付着する部位の近傍には滑液包があります。
  2. 機械的摩擦によって炎症を起こしやすい。
  3. 肩関節肘関節大転子部足関節前面アキレス腱付着部などに多い。
  4. 患部が腫脹、発赤し、滑液が貯留します。
  5. 運動痛、圧痛があります。
  6. 特殊型として石灰性沈着性滑液包炎があり、肩関節にもっとも多く、激痛を伴う急性発作があります。

4.単純性関節炎

  1. 一過性に経過する原因不明の関節炎。
  2. 非特異的滑膜炎で通常炎症症状が軽い。
  3. 小児股関節に多い。
  4. 関節結核その他関節疾患(Perthes病など)の初期と間違えないよう注意を要します。
  5. 血液検査では異常所見はありません。
  6. 自然に治癒します。

5.関節リウマチ

病理学的関節リウマチ

  1. リウマチとはギリシャ語の”流れる”という意味の言葉に由来し、有害な物質が体内を流れているので、全身の種々の関節や筋肉が痛くなるということを意味しています。

  2. 原因不明の自己免疫疾患であり、約80%の患者に特殊な免疫グロブリンであるリウマチ因子が認められます。(RAテスト陽性)。

  3. 20~50歳の成人女性に初発することが多い。

  4. 初発症状両側の手指の関節痛、朝の手のこわばりのような症状で始まる。

  5. 関節炎の寛解と増悪を繰り返しながら徐々に進行し、膝、肘、股、肩などの大関節にも及び、関節液の貯留、関節の破壊、変形が顕著になります。

  6. 全身状態:症状が進行すると、るい痩(やせ)、貧血、RAテスト陽性、血沈値の亢進、CRPテスト陽性などの異常所見が認められます。

  7. X線像:最初の変化は骨委縮であり、次いで関節裂隙の狭小化、骨の破壊、関節の変形・強直などが認められます。
  8. 慢性関節リウマチのX線像と模式図

    慢性関節リウマチにみられる手指の変形

  9. 診断:アメリカリウマチ協会の診断基準に基づくことが多い。
  10. アメリカリウマチ協会の診断基準

  11. 治療:
    1. 全身管理:規則正しい生活、十分な栄養、休息、睡眠を指導します。
    2. 薬物療法:鎮痛消炎剤、免疫調整剤、ステロイドホルモンなどを投与します。ステロイドホルモンは一時的には非常によく効くが、長期使用は副作用が強く、かつ次第に効かなくなるので慎重に投与すべきです。
    3. 局所療法:軽い運動、マッサージ、温熱療法、ステロイドホルモンの関節内注入、装具の使用などが行われます。症例によっては、滑膜切除、関節固定、人工関節などの手術が適応となります。

6.悪性関節リウマチ

1.関節リウマチ(RA)の中で全身性の血管炎の症状が強いものは予後は悪い。これを悪性関節リウマチといいます。

2.紫斑、下腿潰瘍、指趾の壊疸、高熱、心臓症状などを示します。

関節リウマチのイラスト


7.痛風 gout→尿酸代謝異常

痛風のイラスト

  1. 尿酸の過形成または排泄障害により、体内に尿酸が蓄積して発生する疾患です。尿酸は核酸代謝の最終産物で、腎から排泄されます。

  2. 中年以後の男性に多く、母指中足指関節が好発部位です。

  3. 関節周囲の尿酸の蓄積が関節に波及し、尿酸の結晶の刺激で急性関節炎が発症し、腫脹、発赤、激痛を生じます。

  4. 急性発作は数日で寛解しますが、ときどき再発します。

  5. 痛風結節:尿酸の結晶の蓄積によるもので、耳介、肘頭に多い。

  6. 血清尿酸値が上昇し、関節液から尿酸結晶が証明されます。

  7. 尿酸生成阻害剤や尿酸排泄剤を継続投与することにより、発作の再発を防止できます。

痛風のイラスト

8.血友病性関節症

  1. 血友病では膝や足関節に繰り返し出血が起こるため、関節内血腫による関節症が発生します。
  2. 関節内に血液が貯留し、滑膜の増殖が顕著で、軟骨が破壊され、関節拘縮、変形を起こします。

9.変形性関節症(OA)osteoarhritis

  1. 関節の老化現象によって、関節軟骨が変性、吸収され、軟骨下の骨は刺激(関節裂隙の狭小化あるいは消失))で硬化し、骨棘形成や骨吸収による嚢胞が出現します。このような現象を変形性関節症といいます。
  2. 多くは加齢による老化現象で起こりますが、炎症や外傷による関節の変形の後遺症としても発生します。
  3. 中年以後の女性の膝に多い。股関節では先天性股関節脱臼の二次的なものが多い。
  4. 症状:膝では自発痛は少なく、運動痛や起床時のこわばりが主な症状です。ときに関節液がたまるが、強い炎症症状はありません。
  5. 変形性膝関節症のレントゲン画像

  6. 治療: 安静、温熱療法、肥満の防止。
    ・消炎鎮痛剤の投与。
    ・痛みのひどい場合にはステロイドホルモンの関節内注入。
    ・手術療法:骨切り術で荷重線を変えたり、重症例には人工関節置換術を行います。

変形性膝関節症のX線像とイラスト


10.離断性骨軟骨炎 osteochondritis dis-secans《野球肘;chipped elbow

  1. 関節軟骨と軟骨下海綿骨の一部が変性壊死に陥り関節面より剥離して、関節障害を起こしたもの。微小外傷の繰り返しによると考える人が多い。
  2. 骨片が完全に離開して脱落すると、関節遊離体となります。
  3. 肘関節に多い。
  4. 症状:関節の腫脹、運動痛、関節液の貯留などが起こります。
  5. 治療:初発時は安静、固定、免荷などを行います。進行したものには手術も行われます。陳旧例は手術(骨片の摘出、骨移植など)がよい。

離断性骨軟骨炎のX線像とイラスト


11.関節遊離体 loose body《関節鼠》

  1. 離断性骨軟骨炎、骨軟骨骨折、変形性関節症などで生じます。
  2. ときに遊離体が関節面にはさまり、嵌頓症状を生じます。
  3. に多い。
  4. X線写真または空気と造影剤を使った関節造影で確認。
  5. 摘出します。

離断性骨軟骨炎のX線像とイラスト