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  3. 骨・軟部腫瘍

骨腫瘍

骨や軟部組織、筋肉などから発生する腫瘍であり、良性と悪性、原発性と転移性があります。

1.悪性骨腫瘍

  1. 好発年齢
  2. 骨肉腫、Ewing肉腫などの原発性腫瘍は概して若年者に多く、癌転移や骨髄腫は40歳以上に多い

  3. 好発部位
    1. 骨原発性悪性腫瘍は長管骨の骨幹端部に好発し、大腿骨下部がもっとも多く、次いで脛骨上部、上腕骨上部、腓骨上部の順です。
    2. 癌転移は体幹骨の脊椎、骨盤、肋骨、肩甲骨などが好発部位です。

  4. 悪性腫瘍の症状・血液検査所見
    1. 疼痛、圧痛、腫脹、運動制限など。
    2. 病的骨折:癌転移、骨髄腫で高頻度に出現します。良性では骨嚢腫が病的骨折でよく発見されます。
    3. アルカリホスファターゼ値がしばしば上昇します。

  5. 画像診断
    1. 不規則な骨破壊、骨膜反応、針状体 (スピクラ)形成などを示します。
    2. 血管造影で豊富な細血管が腫瘍内に侵入します。
    3. シンチスキャニング:99mTcで病巣への強い集積を示します。
  6. 骨融解型骨肉腫のX線画像イラスト

    悪性骨腫瘍の動脈造影所見のX線画像イラスト

  7. 治療
    1. 手術療法:切断術、広範囲切除術(低悪性度のもの、限局性のものに行われます)。
    2. 照射:ユーイングEwing肉腫や細網肉腫は放射線感受性が強いので、一次的に用いられています。
    3. 制癌剤の併用:近年は手術前後に数種類の大量の制癌剤を間歇的に投与することにより、予後は非常に改善されました。

2.骨肉腫 osteosarcoma

  1. 悪性の骨原発性腫瘍のうちもっとも多い
  2. 10~25歳に多く、男子にやや多い。
  3. 大腿骨下端、次いで脛骨上端の骨幹端にもっとも多い。このほかでは上腕骨上部、腓骨上部、大腿骨上部が好発部位です。【メモ:肺転移が見られます。】
  4. 組織像では悪性の腫瘍細胞による類骨形成が特徴的です。
  5. X線像:境界不鮮明な骨の破壊、骨皮質の消失、骨膜反応スピクラ、不整な骨形成像などの所見を示します。
  6. 骨硬化型骨肉腫のX線画像イラスト

  7. 治療
    1. 四肢のものは切断術が一般的であり、文化型、限局型のものにはとくに広範囲切除術が行われます。
    2. 制癌剤の併用:アドリアマイシン、メトトレキセート、シスプラチンがもっとも有効です。
  8. 切断のみをしていた時代の5年生存率は約10%でしたが、近年は有効な制癌剤の併用により、50~60%に達しています。

3.軟骨肉腫 chondrosarcoma

  1. 骨肉腫より少なく、頻度は約1/3~1/4。
  2. 骨肉腫より高年齢に好発します。骨盤にもっとも多く、そのほか長管骨骨幹端に好発します。
  3. 組織像は軟骨基質を有し、細胞は骨肉腫に比べ分化しています。一般に発育はゆっくりで、悪性度は低い。
  4. 切除術または広範囲切除が行われます。
  5. 予後:骨肉腫より良好です。

軟骨肉腫のX線画像イラスト

4.Ewing肉腫

  1. 小児に好発し、骨肉腫よりも年齢は若い。
  2. 組織像は小円形細胞肉腫像を示す。
  3. X線像:骨肉腫に類似する。
  4. 治療:切断や切除も行われるが、照射がよく効くので第一次治療として行われることも多い。制癌剤も併用されます。
  5. 予後:骨肉腫と同様で、もっとも悪い。近年は制癌剤の併用でよくなりつつあります。

Ewing肉腫のX線画像イラスト

5.骨髄腫 myeloma

  1. プラズマ細胞起源の悪性腫瘍であり、40歳以上の成人に多い。
  2. 疼痛、病的骨折を示す。
  3. 免疫電気泳動で特有な異常蛋白が現れます。
  4. X線像:多発性のpunched out lesion(打ち抜き像)が特徴的で、頭蓋骨でよくみられます。骨委縮、病的骨折が頻発します。

多発性骨髄腫のX線画像イラスト

6.骨転移癌 metastatic cancer to bone

  1. 骨は癌転移の好発部位です。【メモ:全骨腫瘍の中で最も多い。】
  2. 乳腺前立腺甲状腺肺癌ではとくに転位率が高い。
  3. 脊椎、肋骨、骨盤など体幹の骨に好発します。原発性骨腫瘍が四肢骨に好発するのと対照的である。
  4. 脊椎に発生した場合は脊髄麻痺を起こしやすい。
  5. 病的骨折が多い。
  6. X線像:一般に骨吸収性であり、骨肉腫とは異なり骨形成像や骨膜反応は少ない。前立腺や乳癌の癌転移では骨硬化型が比較的多い。
  7. 治療:放射線や制癌剤治療が行われます。長管骨の転移巣に対しては髄内釘固定術が対症療法として有効です。

骨転移癌のX線画像イラスト

7.神経芽細胞腫骨転移

  1. 原発巣は副腎や交感神経節に発生します。
  2. 5歳以下の小児に多い。
  3. しばしば尿中VMA(vanillyl mandelic acid)が上昇します。
  4. 骨転移をきたしたものは予後がわるい。

8.骨巨細胞腫 giant cell tumor of bone

  1. 骨腫瘍のうちでは比較的多い。骨肉腫よりやや少ない程度です。
  2. 20歳代、30歳代が多い。
  3. 長管骨の骨端部に好発し、大腿骨下端、脛骨上端が多い。
  4. 病理:巨大な多核巨細胞の出現が特徴的です。悪性の所見は少ない。
  5. X線像:骨端部の被殻状膨隆が特徴的です。内部は骨吸収像を示します。
  6. 治療:切除ではほとんど再発しないが、掻爬、骨移植では再発率が高い。

骨巨細胞腫のX線画像イラスト

9.骨軟骨腫(軟骨性外骨腫) asteochondroma

広範囲、対称性に多発するものは、腫瘍というよりは系統疾患(形成異常)であり、遺伝性ADを有する。
  1. 骨性の膨隆を示し、単発性と多発性がある。骨腫瘍のうちもっとも多い
  2. 幼児~少年期に発見される。成長が停止すると腫瘍の発育もとまる。
  3. 長管骨の骨幹端に好発します。
  4. X線像:骨の膨隆を示す。【メモ:硝子様軟骨帽におおわれる。】
  5. 治療:小さいものは放置してよい。神経や腱を圧迫して疼痛のあるもの、関節の運動制限、巨大で美容上醜形を呈するものは切除する。

多発性軟骨性外骨腫のX線画像イラスト

10.軟骨腫 chondroma

分化した軟骨細胞からなる。
  1. 手の指骨(中節骨や基節骨)や中手骨・中足骨のような短管骨に好発します。
  2. 骨は破壊され、軟骨性腫瘍で置換されます。
  3. 搔爬、骨移植で治癒します。

11.孤立性骨嚢腫 solitary bone cyst

  1. 骨内に発生した嚢腫であり、水分を含有しています。真の腫瘍ではありません。
  2. 幼児期に発生します。
  3. 上腕骨と大腿骨の近位骨幹端が好発部位です。
  4. 病的骨折を起こして、嚢腫が発見されることが多い。

孤立性骨嚢腫のX線画像イラスト

12.線維性骨異形成症 fibrous dysplasia

  1. 真の腫瘍ではなく、形成異常と考えられる。
  2. 長管骨に好発します。
  3. 多発性(主に片側性)で、色素斑(cafe au lait spot)、性的早熟を合併するものをAlbright症候群といいます。
  4. X線像:病変部は正常の骨梁が消失し、すり硝子状を呈します。重症例では、彎曲、変形が著しい。

線維性骨異形成症:骨の内部はすり硝子状に見えるX線画像イラスト

13.骨組織球症 histiocytosisX(好酸球性肉芽腫 eosinophilic granuloma、Hand-Schuller-Chrisitian病、Letterer-Siwe病

  1. 好球性肉芽腫、Hand-Schuller-Christian病、Letterer-Siwe病の三者を1つとして、骨組織球症と呼ばれます。いずれも乳児~小児に好発します。
  2. 好酸球性肉芽腫は骨のみに限局し、多くは単発で、予後良好。
  3. Hand-Schuller-Christian病は多発性に骨をおかし、肝・脾腫、高コレステロール症、皮膚発疹などの内臓症状を呈します。慢性に経過し完治しない。
  4. Letterer-Siwe病は乳児時に発症し、全身症状の強い型で、予後はもっともわるい。
  5. X線像:脊椎では扁平椎、頭蓋骨では地図様骨吸収像、長管骨では骨幹端の骨吸収像が特徴的です。ときに、骨肉腫のごとき像を呈します。

骨組織球症(Hand-Schuller-Christian病)のX線画像イラストとシェーマ

軟部腫瘍

1.悪性軟部腫瘍 malignant soft part tumor

  1. 骨髄腫に比べて、さらに少ない。
  2. ほとんどのものは臨床的に診断をくだすことは困難であり、組織検査により決定される。
  3. 治療:広範囲切除を行うが、広範囲切除が近くを走る血管や神経の関係で不可能なときは切断術を行う。単純な切除では必ず再発する。術後は制癌剤併用療法が有効です。
  4. 予後:治癒率は20%~50%です。

2.横紋肉腫 rhabdomyosarcoma

  1. 横紋筋から発生する悪性腫瘍です。
  2. 小児に多く、頭頸部、四肢、後腹膜、泌尿生殖管などの筋肉に好発します。
  3. 5年生存率10~30%であったが、近年は制癌剤の併用により改善されてきています。

3.脂肪肉腫 liposarcoma

  1. 軟部肉腫中、高頻度に発生する。
  2. 40歳以上に多く、下肢や後腹膜の皮下、筋肉内に好発する。
  3. 組織学的に分化したものは予後はよいが、悪性度の強いものの治癒率は約30%です。

4.滑膜肉腫 synovial sarcoma

  1. 壮年期に比較的多く、好発部位は四肢であり、とくに膝関節周辺に多い。
  2. 組織像で滑膜組織に特徴的な線維肉腫様の部分と上皮様の部分からなる二相性を示す。
  3. 5年生存率は30%くらいです。

5.悪性線維性組織球腫 malignant fibrous histiocytoma

  1. 組織球由来の悪性腫瘍であり、老人の軟部悪性腫瘍ではもっとも多いものに属する。
  2. 大腿部に好発し、手術(切断術、切除術)による治癒率は30~50%です。

6.脂肪腫 lipoma

  1. 正常脂肪組織からなり、軟らかい腫瘤を形成します。
  2. 成人の女性に多く、体幹頸部大腿などの皮下に好発します。
  3. 治療:大きいものは摘出します。

7.血管腫 hemangioma

  1. 毛細管が増殖する毛細管型と、著しく毛細管腔が拡張する海綿状血管腫があります。
  2. 一種の過誤腫であり、大部分は生下時または生後数か月で発見されます。
  3. 皮膚がもっとも多く、筋肉、骨、関節内にも発生します。

8.神経鞘腫 neurinoma

  1. 末梢神経や馬尾に発生します。
  2. 多くは数㎝以下で神経痛、圧痛を訴えます。
  3. 摘出術で治癒します。

9.グロームス腫瘍 glomus tumor

  1. 正常の皮膚に存在する皮毬から発生します。
  2. 指尖や爪下に好発します。
  3. 大きさは通常数㎜以下です。
  4. 非常に強い圧痛、放散痛が特徴的です。
  5. 摘出すれば治癒します。

10.ガングリオン ganglion

  1. 腱鞘や関節包の一部が変性を起こし、ゼリー状の粘液を含有する嚢胞状となったものです。
  2. 手関節や手に好発します。球状の腫瘤で、大きさは数㎜から1㎝以内のものが多い。
  3. 摘出術で治癒するが、壁の一部を残すと再発することがある。自然治癒もあります。

11.半粉瘤(表皮嚢腫) atheroma

  1. 表皮の一部が皮下に迷入し、増殖して腫瘤を形成したものです。
  2. 内部には臭い豆腐かす様の物質を含む。
  3. 顔面、体幹に多い。
  4. ときに発赤して痛くなり、自潰する。