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  3. 整形外科治療法

保存療法

1.薬物療法

  1. 全身投与
    1. 疼痛性疾患には鎮痛消炎剤筋弛緩剤、末梢循環促進剤など。
    2. 感染症には抗生物質
    3. 悪性腫瘍には制癌剤
    4. リウマチにはステロイドホルモンや免疫調整剤。
    5. くる病骨粗鬆症にはビタミンD。

  2. 注射
    1. 関節リウマチ変形性関節症に対しては関節内注射。
    2. 腱鞘炎バネ指アキレス腱周囲炎などには腱鞘内注射。
    3. テニス肘などの腱付着部炎には局所注射。
    4. 椎間板ヘルニアには硬膜外注射。
    5. 注入する薬剤は局所麻酔剤とステロイドホルモンの混合液が多い。

2.整形外科的包帯法

  1. ギプス包帯 Gipsverband, POP(plaster of Paris) cast
    1. ギプス包帯は整形外科では重要な治療法であり、骨折整復後の固定、手術後の固定、関節の安静などの目的でしばしば用いられます。
    2. ギプスは硫酸カルシウム(CaSO4・1/2 H2O)の白い粉末であり、これをガーゼにまぶしたものがギプス包帯です。
    3. ギプスを水に浸すと、硫酸カルシウムは結晶水を取り入れてCaSO4・2H2Oとなり、10分以内に石のように硬くなります。
    4. 最近、硫酸カルシウムに替わり樹脂をまぶした固定包帯が次第に多く使用されています。高価ですが重量が軽く、X線像が鮮明に写る利点があります。

  2. ギプス包帯を巻くときの注意
    1. 締めすぎないこと。
    2. の突出部(踵、腓骨骨頭、肘頭、上腕骨内側上顆など)にあたらないようにする。
    3. 神経の圧迫を避ける。とくに腓骨頭頭部での腓骨神経に注意する。
    4. 循環障害に注意する。
    5. 不必要な関節の固定を避ける。骨折の固定では原則として、上、下の2関節を含める。

  3. ギプス包帯の種類
    1. 有褥ギプス包帯:綿包帯などを巻いた上から、ギプス包帯を巻くこと。
    2. 無褥ギプス包帯:皮膚の上に直接ギプス包帯を巻く方法。骨折に対して強固な固定ができるが、腫れるおそれがあるときは危険です。
    3. 架橋ギプス方法:開放創のある骨折の固定などに用いる。
    4. wedging cast:内反足などの矯正に用いる。
    5. 締め木法Quengel法):関節拘縮の矯正に用いる。

ギプス包帯の種類のイラスト

各固定法のイラスト

金属副子による肩関節外転位副子固定のイラスト

3.牽引療法

直達牽引

  1. 骨を直接牽引する方法で、10kg以上の強力な牽引が可能です。
  2. キルシュナーKirschner鋼線牽引、クラッチフィールドCrutchfield牽引、ハロー・ペルビックhalo pelvic牽引などがあります。

  1. キルシュナー鋼線牽引
    1. 骨折後の転位を矯正するために、手術までの間、よく用いられます。
    2. 幼児の大腿骨骨折では骨折がある程度治癒するまで鋼線牽引を持続することが多い。
  2. キルシュナー鋼線牽引のイラスト

  3. 頭蓋骨直達牽引(クラッチフィールド牽引)
    1. 頸椎の脱臼骨折の整復、安静や、頸椎性脊髄症などに用いります。
    2. グリッソンGlisson牽引に比べ強力かつ持続的に牽引できます。

各牽引法のイラスト

介達牽引
絆創膏牽引、スポンジ牽引、グリッソン係蹄牽引、骨盤帯による骨盤牽引など。

骨盤けん引のイラスト、腰痛、ヘルニアなどに用いる

観血的治療

1.皮膚の手術

  1. 皮膚の移植
    1. 広範囲の皮膚の欠損に対しては皮膚移植を行います。
    2. 皮膚の全層あるいは表層を皮膚の欠損部に、本人の皮膚を接着移植した場合、接着面の血行がよければ移植皮膚は活着します。皮膚は薄いほど活着しやすい。

  2. 遊離植皮 free skin graft
    1. 表皮(Thiersch法)(10/1000インチ)や薄い中間層植皮(20/1000インチ):よく活着するが、植皮片は収縮したり、深組織に癒着したりして機能的によくない。
    2. 全層植皮(Krause法)厚みがあるので、活着すと機能がよい。

  3. 血管柄付遊離植皮 vascularized pedicle graft
    1. 皮膚全層と皮下脂肪およびこの皮膚の栄養動脈および流出静脈をつけて移植する。
    2. 手術用顕微鏡を用いて動静脈をそれぞれ母床の血管と吻合する。
    3. 技術的には熟練を要するが、成功するときわめて機能がよい。
    4. 下腿の開放骨折や骨隨炎で骨が露出し、植皮が困難な場合などに用いられる。

  4. 有形植皮 pedickle skin graft
    1. 種々の有形植皮がある。
    2. Z形成(Z plasty):回転皮弁での一種で、瘢痕拘縮に対し拘縮が起こらないようにする。

有形植皮などのイラスト

2.関節の手術

  1. 関節切開
    非膿や関節鼠の摘出時に行う。

  2. 滑膜切除術
    関節リウマチや骨破壊のない時期の関節結核に滑膜を切除する手術を行う。

  3. 関節固定術
    1. 関節を骨性強直させ、動かなくする手術です。
    2. 骨破壊の強い関節結核化膿性関節炎に行う。
    3. 骨肉腫などに対して腫瘍を切除した後に関節固定術を行う。

  4. 人工骨頭置換術
    1. 大腿骨骨頭の置換材料として用いられることが多い。
    2. 高齢者(おおよそ70歳以上)の大腿骨頸部内側骨折、大腿骨頸部骨折偽関節、進行した大腿骨頭壊死、大腿骨頸部の腫瘍などに対して用いられます。
  5. 人工骨頭置換術のイラスト

  6. 人工関節置換術
    股、膝、足、肘、指関節などに行われているが、股・膝関節に対するものがもっとも多い。
  1. 人工股関節
    1. 寛骨臼側には合成樹脂、骨頭には金属の組み合わせがよく用いられる。
    2. 骨頭も寛骨臼も、ともにおかされているような非感染性病変で、原則的には老齢者(ほぼ60~65歳以上)がよい適応です。二次性変形性関節症がもっとも多い。しかし、関節リウマチではもっと若いものにも行われます。細菌性の関節炎は一般に禁忌ですが、十分に長い期間にわたって再熱が認められなかったものには行われることがあります。
  2. 人工股関節置換術のイラスト

  3. 人工膝関節
    1. 慢性関節リウマチ 変形性関節症などで強い変形が認められるものに適応があります。

  4. 人工挿入物手術の要点
    1. 挿入される物質が生体にとり無害であること。
    2. 耐用年数が長いこと。
    3. 手術にさいしては大きな異物が挿入されるので、感染の危険性が高く、したがってその予防に努めること。
    4. 材料としてはバイタリウム、チタン、セラミック、ニッケル、モリブデン、クロームなどを含有する特殊鋼が用いられます。

  5. バイオクリーンルーム(無菌手術室)
    1. 清浄化された無菌空気を一定のスピードで手術台上に流す設備のある手術室をいいます。
    2. 空気流の方向は水平式、垂直式がある。
    3. 主に人工関節手術など感染の危険が高く、しかもこれを絶対に起こしてはならない手術のために利用されます。

3.腱の手術

  1. 腱縫合術
    アキレス腱断裂や手の腱断裂に対して断端の縫合術が行われます。

  2. 腱延長術
    尖足に対するアキレス腱延長術がもっともよく行われます。
  3. アキレス腱の延長術のイラスト

  4. 腱移行術
    1. たとえば伸筋群が麻痺を起こして関節の伸展ができない場合に、屈筋群の一つを付着部で切断し、これを伸筋付着部に移行、固定することにより、自動伸展を可能にするような手術をいいます。
    2. Barr手術はよく行われる腱移行術です。

    3. 【メモ:Barr手術;腓骨神経が麻痺すると、前脛骨筋、腓骨筋が麻痺するため内反尖足変形をきたす。ことような場合に、後脛骨筋を停止部より切離し、骨間膜に窓を開けて後脛骨筋を前方へ引き出し、外側楔状骨に移行する。自動的背屈が可能になり、内反変形を予防できる。】

  5. 腱移植術
    手掌の no man's land における屈筋腱損傷は端端縫合で周囲と癒着しやすいので、しばしば切離した長掌筋腱の遊離移植が行われます。

アキレス腱移行術、Barr手術、神経縫合術、尺骨神経前方移行術のイラスト

4.神経の手術

  1. 神経剥離術 neurolysis
    瘢痕組織で神経が絞扼され麻痺を起こしているときに、神経外膜を剥離し、神経を自由にする手術をいいます。

  2. 神経縫合術 neurorrhophy
    1. 外傷による神経断裂や瘢痕による神経麻痺がある場合に、瘢痕部を切除し、両側の神経断端を縫合する手術です。
    2. 神経縫合が成功するときは、1日1mmの割合で、中枢から抹消に向かい神経は再生してゆく。

  3. 神経移行術、神経移所術 nerve transfer
    肘部で尺骨神経を上腕骨内側上顆の後方から前方へ移すように神経の走行を変える手術をいいます。

  4. 神経移植術
    欠損が大きく縫合不能な神経断裂に行います。

5.骨の手術

  1. 骨接合術
    1.骨折や骨切り術後に行われます。
    1. 上腕骨顆上骨折に対するキルシュナー鋼線固定術
    2. 大腿骨骨折に対する圧着プレート固定術:ネジを刺入し、圧着器をセットして骨折端に圧迫力を加え、この状態で他のネジを打ち込み固定する。骨折端に圧迫力が加わると骨折はつきやすい。大腿骨や脛骨の骨幹骨折に用いられる。
    3. 脛骨内果骨折に対するネジ固定術
    4. 大腿骨骨折に対する髄内釘固定術:リーマーで骨髄腔を広げた後に、髄内釘を挿入する。大腿骨や脛骨の骨幹骨折によく用いられる。

    2.キルシュナーKirchner鋼線、ネジ、キュンチャーKuntscher髄内釘、金属糸、創外固定器などを用いて骨を接合する。
  2. 骨接合術のイラスト

  3. 骨切り術 osteotomy
    1. 骨折の変形治癒や関節不良肢位に対し、形を矯正したり、または関節の荷重面の変更や関節窩と骨頭の適合性獲得のために骨を切り、方向を変えて接合する手術です。
    2. 関節症の治療などに用いられる。
  4. 骨接合術、骨切り術のイラスト

    変形性膝関節症に対する脛骨高位骨切り術のイラスト

  5. 骨移植術
    1. 骨欠損部の補填や骨接合術のさいの骨癒合促進、偽関節の手術などに用いる。
    2. 移植骨用の海綿骨は腸骨から採取されることが多い。欠損部を補填する大きな骨としては脛骨片や腓骨骨幹が用いられる。
    3. 血管付き骨移植
      1. 骨欠損の大きな骨折、慢性骨髄炎や先天性脛骨偽関節症で骨の癒合がむずかしい症例に対して、腓骨や肋骨を栄養血管付きで移植し、母床の動静脈と縫合する。
      2. 移植骨は生きているので骨癒合がよく起こる。

  6. 骨延長術
    1. 先天性奇形、骨端軟骨損傷、骨髄炎などで一側の下肢が非常に短い場合に大腿骨または脛骨の延長術を行います。
    2. まず骨膜下で骨を切断し、1カ月くらいかけて徐々に延長する。通常3~4㎝の延長は可能であり、伸びたところで固定する。

  7. 切断肢再接着術
    1. microsurgery(顕微鏡下手術)の発達により、微小血管の縫合が可能となり、切断肢の再接着が行われるようになった。
    2. 切断後の症例で断端が鋭利で挫滅度が少ないものでないと成功しない。