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全身性の骨・軟部疾患

1.先天性骨系統疾患

    • 先天性に全身の多くの骨に形成異常が出現する疾患です。
    • 骨形成異常が骨端、骨端軟骨、骨幹端、骨幹のうち、いずれの部位の病変が強いかによって分類されます。
    系統的骨形成異常疾患の分類
    主な変化の部位疾患
    骨端Morquio病
    多発性骨端形成不全症multiple epiphyseai dysplasia
    骨端軟骨軟骨無形成症achondroplasia
    多発性軟骨腫症multiple enchondromatoses
    Hurler病
    Marfan病
    骨幹端大理石病marble bone disease
    多発性外骨腫症multiple exostoses
    骨幹Engelmann病
    骨形成不全症osteogensis imperfecta

  1. 軟骨無形成症 achondroplasia
    1. 軟骨の形成異常であり、もっとも代表的な骨系統疾患です。
    2. 常染色体優性遺伝(AD)
    3. 体幹に比して四肢が太く短い小人
    4. 長管骨の骨幹端が強く障害される。
    5. 鞍鼻、O脚を呈します
  2. 軟骨無形成症X線のイラスト

  3. Morquio病
    1. 常染色体劣性遺伝(AR)を示します。
    2. 体幹短縮型の小人
    3. 骨端や手根、足根骨に強い変化がくる。
    4. 脊椎は扁平椎を呈する。【メモ:骨端核の強い変形、骨盤はシャンペングラス状となる。】
    5. ムコ多糖症の一種で、ムコ多糖症IV型と分類される。
    6. 3~4歳以降に発症し、X脚を呈する。
  4. のイラスト

  5. 骨形成不全症 osteogenesis imperfecta
    1. 主に骨幹の骨形成異常であり、先天性と遅発性(2~5歳発症)があります。
    2. 遅発性は常染色体優性遺伝(AD)を示す。
    3. 骨皮質が薄く、骨が細い。骨梁も薄い(骨膜の造骨細胞の機能低下による)。
    4. 頻回に骨折を起こす。しかし骨折は容易に治癒する。
    5. 長径成長は正常(骨端軟骨には異常はない)。
    6. 遅発性では青色強膜や難聴を合併するものがある。
  6. 骨形成不全症X線のイラスト

  7. 大理石病 marble bone disease
    1. 骨幹端における破骨細胞機能障害のため一次性骨化が吸収されずに残り、正常構造の骨が作られない。
    2. X線像で髄腔は皮質様に濃くなる。【メモ:骨硬化
    3. 骨はもろく、骨折しやすい。【メモ:造血障害がみられる。】
  8. のイラスト

  9. Marfan症候群
    1. 常染色体優性遺伝(AD)を示す。
    2. 先天性中胚葉形成不全による。
    3. 四肢は細く長い。骨幹端で過成長する。
    4. 側彎くも指心臓や眼球の奇形を伴うものがある。【メモ:高身長】

マルファン症候群のX線イラスト

2.進行性骨化性筋炎 myositis ossificans progressiva

  1. 小児期に発症し、進行性。
  2. ほとんどの全身の筋、関節、靭帯に骨化を起こす。
  3. 末期には呼吸運動が障害され、肺炎などで死亡する。

3.多発性神経線維腫症von Recklinghausen病)multiple neurofibromatosis

  1. 多発性神経線維腫、皮膚の色素斑(cafe au lait spot)、骨格の異常(側彎など)を示す。
  2. 常染色体優性遺伝(AD)。
  3. 神経線維腫は二次的に線維肉腫になることがある。

4.Ehlers-Danlos症候群

  1. 全身の弾力線維の発育がわるく、皮膚弛緩性(皮膚を容易につまみあげることができる)。関節弛緩性を示す。
  2. 血管壁が弱く、出血しやすい

5.Paget病

  1. 中年以後に発生する。欧米では多いが、本邦ではまれです。
  2. 頭蓋骨、四肢骨が肥厚し、X線像で骨吸収と過剰骨形成を伴った濃炎入りまじった骨硬化像を示す。
  3. 血清アルカリホスファターゼ値が高度に上昇する。血清Ca、Pは正常
  4. 二次的に骨肉腫が発生することがあります。

ぺージェット病のイラスト

6.くる病(骨軟化症) ricketsosteomalasia

  1. 骨が形成されるときは、まず膠原繊維からなる骨基質すなわち類骨が作られ、そこに二次的にリン酸カルシウムの結晶であるヒドロキシアパタイトhydroxyapatiteが沈着して骨ができあがる。くる病の特徴は、類骨はできるが、ヒドロキシアパタイトが沈着しにくい状態です。

  2. 骨端軟骨では予備石灰化層が起こらず、軟骨細胞が不規則に増殖し膨隆する。そのために成長障害や変形が起こる。

  3. 小児では、骨端の肥厚、長管骨の彎曲、O脚、X脚、脊椎後彎など、成人では骨の痛み、不全骨折など。

  4. X線像:
    小児:骨端軟骨の幅が広く、厚くなり、骨幹端側が盃状(骨端軟骨の拡大:石灰化されない )に広がる。【メモ:病的骨折が起こる。】
    成人:骨の希薄化、骨改変層(不全骨折線)の出現。

  5. ビタミンD欠乏性くる病:
    くる病はいろいろな原因で発生しますが、代表的なものはビタミンD欠乏症性くる病です。ビタミンDは十二指腸で吸収され、腸管からのカルシウム吸収を助ける役目があります。このため食事でビタミンDが欠乏したり、慢性下痢でビタミンDが吸収されなかったり、あるいは胃切除、小腸吻合後で食物が十二指腸を通らなかったりすると、カルシウムの吸収が不十分になり、くる病が発生します。この場合、血清中のカルシウムは正常ないし低下、リンは低下、アルカリホスファターゼは上昇、尿中カルシウムは減少します。

くる病のイラスト

7.Moller-Barlow病

  1. ビタミンC欠乏による。
  2. 骨膜下、骨幹端に出血し、血腫や二次的な反応性骨形成像を示します。

8.巨人症 giantism

  1. 骨端線閉鎖以前に脳下垂体成長ホルモンが過剰産生されるときに生じます。
  2. すべての骨の長さと太さが正常より増加します。
  3. 筋力低下を示します。
  4. ホルモンの過剰産生が骨端線閉鎖後に起こると末端肥大症になります。

巨人症のイラスト

9.脳下垂体小人症 hypophyseal dwarfism

  1. トルコ鞍部の腫瘍や嚢腫による脳下垂体の圧迫により生じます。
  2. Frohlich型(dystrophia adiposogenitalisを伴うもの)とLaron型(骨成長の障害のみ)があります。
  3. 全身のプロポーションは正常です。この点はMorquio病や軟骨形成不全症における小人と異なります。
  4. 骨年齢は低く、骨端線の閉鎖はおくれます

10.Cushing症候群

  1. 副腎からの過剰なグルココルチコイドの分泌により発生します。
  2. 整形外科的に著名な骨萎縮と病的骨折に伴う過剰仮骨形成を示します

11.一次性上皮小体機能亢進症 primary hyperparathyroidism

  1. 上皮小体ホルモンは血中カルシウムやアルカリホスファターゼを上昇させ、血清リンを低下させます。
  2. 副甲状腺の腺腫によるものが多い。
  3. X線像:全身の骨は希薄化し、ときに嚢腫様透明巣を作る。指骨の骨膜下吸収像顎骨の歯槽鋼線lamina duraの消失は特徴的です。
  4. 治療としては、上皮小体腫瘍摘出術。

上皮小体機能亢進症のイラスト

12.老年性(閉経後)骨粗鬆症 senile(postemenopausal)osteoporosis

  1. 老人、ことに閉経後の女性に多く発生します。
  2. 長期間のカルシウム摂取不足や女性ホルモンの欠乏が原因。
  3. 骨梁が減少し、骨皮質は薄くなる状態をいいます。骨基質も骨塩も正常の割合で減少します。
  4. X線像で骨は薄くみえます。【メモ:血中Ca,リン、アルカリホスファターゼは正常。】
  5. 骨折を起こしやすい。錐体では中央が陥没する魚椎形成、圧迫骨折を起こしやすい。
  6. 治療:1日7000歩の歩行、体操を実行させ、蛋白とカルシウムに富んだ食事をとらせる。蛋白同化ホルモン、カルシウム投与、カルシトニン投与などを行います。

老人性骨粗鬆症のイラスト