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  3. 骨盤・下肢の疾患

1.骨盤骨折 fracture of the pelvis

  1. 産業・交通事故などのさいの強大な外力によって起こります。

  2. 骨折型として、単独骨盤骨折骨盤輪骨折に分けられます。

  3. 単独骨盤骨折は直達外力や筋の牽引によって生じるものです。スポーツとくに疾走時や跳躍時、大腿筋膜張筋、縫工筋などの筋牽引によって、筋起始部である上前腸骨棘に剥離骨折を起こすことがあります。また同様に大腿直筋の筋牽引により、下前腸骨棘に剥離骨折を起こすこともあります。腸骨上部の水平骨折はDuverney骨折と呼ばれています。

  4. 骨盤輪骨折は種々の型がありますが、骨盤輪が垂直方向に離断されるMalgaine骨折が有名です。
  5. 骨盤骨折のイラスト

  6. 合併症:
    1.尿路(膀胱・尿道)損傷を伴うことがしばしばあるので、血尿の有無にはとくに注意しなければなりません。

    2.骨盤内臓器の損傷を伴うことも多く、ときに生命の危険があります。

  7. 治療:
    3.治療は保存的に骨盤部をキャンバスで吊り上げ、下肢牽引を行って骨癒合を待つのを原則とします。骨折は多少の転位が残存しても、機能障害は少ない。
    4.寛骨骨折(外傷性股関節後方脱臼中心性脱臼に合併)に対しては、体重負荷部で転位が大であれば観血的に整復・固定します。

キャンパス牽引のイラスト

2.腸腰筋炎 iliopsoitis

  1. 急性化膿性筋炎の一種で、起炎菌はブドウ球菌が大半を占めます。

  2. 腸腰筋は腸骨内面および腰椎横突起から起こり、大腿骨小転子に付着する股関節屈筋であるため、炎症による拘縮はただちに股関節屈曲位(腸腰筋肢位)として現れます。

  3. 腸骨窩に圧痛、硬結、波動をふれます。

  4. 治療:屈曲拘縮除去と安静のために患肢の牽引を行い、化学療法を行います。膿瘍形成があれば切開し排膿します。

3.先天性股関節脱臼と臼蓋形成不全(CDH)

  1. 生下時に特別な外傷や感染症とは関係なく、大腿骨頭が関節包をかぶったまま寛骨臼外に脱臼(関節包内脱臼)しているものをいいます。
  2. 臼蓋形成不全は臼蓋が浅く急峻なもので、大腿骨頭位は正常であったり亜脱臼位をとります。
  • 病因
    遺伝説、関節弛緩説、子宮内肢位異常説、出生後の環境説などがありますが、なお不明です。

  • 頻度
    発生頻度は国や地方によって異なりますが、わたしたちの国では出生1,000に1の割合といわれ、女子に多い

  • 症状
    臨床所見は年齢によりその特徴を異にします。
    1)乳児期
    1.下肢のみせかけの短縮:患肢は短縮し、内転外旋位をとりやすい。
        大腿雛襞に左右差があります。大腿骨頭は外上方へ脱臼しています。

    2.開排制限:性差、個人差がありますが、正常の場合、通常は約90°近く可能ですが、患肢では制限されます。
        正常股では大腿骨頭は鼠径靭帯と大腿動脈との交叉部直下にふれます。鼠径靭帯、縫工筋、内転筋群で囲まれた三角は大腿三角(Scarpa 三角)と呼ばれます。

    臼蓋形成不全・先天性股関節脱臼のイラスト、

    3.X線像:臼蓋形成不全があり、大腿骨頭は上外方に脱臼します。

    2)幼児期
    1.処女歩行の遅延
    2.跛行Trendelenburg症候が陽性に出て、弾性墜下跛行となり、患肢立脚時、肩が落ちます。両側性の場合は上体を左右に振る家鴨様跛行を呈します。

  • 治療
    1)乳児期
    リーメンビューゲルが広く用いられます。この方法では吊り紐で股関節を曲げたまま肩から吊っておくと、多くは数週のうちに患肢の運動により自然整復が行われ、かつ整復位が保持されます。少数の不成功例に対しては、牽引後、徒手整復、装具固定を行います。

    2)幼児期
    乳児期でのリーメンビューゲル不成功例も含め、この時期では手術的整復の対象となるものが多い。

    リーメンビューゲルのイラスト

    3)手術的療法
    1)観血的整復術:非観血的治療により整復が得られなかった場合には、観血的に関節を開いて整復障害因子を除去します。

    2)補正手術:臼蓋が急峻なものには臼蓋形成術、大腿骨頭の前捻、内反が強い場合には大腿骨上部での骨切り術などが行われます。

リーメンビューゲルのイラスト

4.大腿骨近位骨端線離開、大腿骨頭すべり症slipped femoral epiphysis

  1. 大腿骨頭骨端軟骨に亀裂を生じ、骨頭が後内下方へ転位します。
  2. 原因は不明ですが、成長ホルモン過剰(肥満体や背の高いやせ型)との関係が考えられています。
  3. 成長のもっとも盛んな思春期に発生し、男子に好発します。*ドレーマン徴候陽性

5.単純性股関節炎 coxitis simplex, observation hip

  1. はっきりした原因はなく、小児に起こる一過性の関節炎。
  2. 股関節、大腿、膝にかけての痛みと跛行が主で、股関節可動域はすべての方向に経度制限されます。
  3. 治療:安静によって疼痛は軽減し、数日ないし2~3週間で治癒します。

6.化膿性股関節炎 suppurative arthritis of the hip

  1. 乳児に多く、頸部に発症した血行性骨髄炎が直接関節腔に波及し、化膿性関節炎を起こしたものが主です。
  2. 膿貯留により関節包が伸展・拡張し、また骨頭や寛骨臼も破壊され病的脱臼を起こします。
  3. 発症は急激で突然発熱し、股関節を動かすとき、たとえばオムツ交換時などに号泣します。局所の腫脹・発赤や可動制限をみます。
  4. 治療:抗生物質の投与効果がなければ、関節切開をします。
  5. 治療が適正でないときは骨頭や関節窩の骨破壊がすすみ、ついに骨頭はまったく消失して脱臼します。

化膿性股関節炎のイラスト