サイト科院

ヘッダーイラスト

 

  1. ホーム  >
  2. 整形外科学  >
  3. 下肢の疾患

1.特発性大腿骨頭無腐性壊死 idiopathic necrosis of the femoral head

  1. 成人の大腿骨頭に明らかな原因がなく阻血性の壊死が起こるもので、近年著しくこの疾患が増加し、ステロイド投与アルコール中毒、膠原病、肝疾患、潜函病、肥満などとの関連で注目されています。

  2. 大腿骨頭を栄養する動脈、とくに外側骨端動脈の狭窄ないし閉塞により発生します。壊死巣はその支配域に一致して骨頭の前上方向にあることが多い。壊死巣の周囲は血管に富んだ線維組織に取り囲まれます。
  3. 特発性大腿骨骨頭無腐性壊死のイラスト

  4. 症状
    1. 中年以降の男性に多く、片側に発症しますが、数年で約70%くらいが両側性となります。
    2. 股関節、大腿、膝などに突発的に疼痛が出現します。安静により軽快しますが、変形が進行し関節不適合が増強すると、常時、歩行時痛、運動痛を訴え跛行します。
    3. 末期は変形性関節症となります。

  5. 治療
    1. 免荷装具の長時間の装着で疼痛は軽快することがあります。
    2. 症状が続くときは手術(骨切り術、人工骨頭置換術)を行います。

2.変形性股関節症 osteoarthritis of the hip

  1. 一次性のものもありますが、先天性股関節脱臼治療後の二次性のものがはるかに多い。

  2. 中年以後の女性に多く、股関節痛、関節拘縮、跛行などの症状が現れます。

  3. 治療
    安静、消炎鎮痛剤、筋弛緩剤の投与などを行いますが、症状は次第に強くなり、手術を要するものが多い。

  4. 手術
    臼蓋形成術、人工関節置換術などが行われます。

変形性股関節症のイラスト

3.バネ股 snapping hip

  1. 腸脛靭帯が大転子部で肥厚し、そのために股の屈伸で靭帯が大転子の前後に移動するときに、疼痛とともに轢音を発するものです。
  2. 症状が強い場合は、手術(靭帯の延長、切離術)を行います。

4.坐骨神経痛 sciatic nerve palsy

  1. 第5腰椎、第1、2仙髄神経が脊椎を出たところで一緒になり、坐骨神経を形成します。坐骨神経は殿部から大腿後面を下行し、膝窩の上部で、坐骨神経と腓骨神経に分かれます。

  2. 股関節後方脱臼のさい、大腿骨頭の圧迫により麻痺が発生することが多い。

  3. 梨状筋症候群(仙骨から大転子後面に付着する梨状筋が緊張し、その直下を走る坐骨神経を圧迫するもの)でも、坐骨神経痛や不全麻痺が発生することがあります。

  4. 椎間板ヘルニア脊損脊髄腫瘍のような疾患では、坐骨神経の中枢部が損傷されるために疼痛や麻痺が生じる場合があります。

  5. 完全麻痺では膝の屈曲、足関節や足の運動がまたく不能になり、下腿、足の内側を除いた膝以下の知覚が消失します。

5.大腿四頭筋損傷

  1. 疾走やジャンプによる強い収縮で、大腿直筋の起始部が下前腸骨棘で断裂します。しばしばこの部位に剥離骨折が起こります。

  2. 大腿前面の打撲で、筋腹の部分断裂が起こり、出血、腫脹がみられます。

  3. たいていは保存的治療で治癒します。

6.大腿四頭筋短縮症 contracture of the quadriceps femoris

  1. 大腿四頭筋が線維性、瘢痕性になって、膝関節の屈曲時に伸びがわるくなった状態です。

  2. 大腿四頭筋筋肉内注射によるものが多い。

  3. もっとも重要な症状は腹臥位における尻上がり現象です。尻上がり現象は二関節筋である大腿直筋がおかされるときにみられるもので、内・外あるいは中間広筋などの一関節筋では起こりません。この場合には仰臥位、腹臥位の区別ないく膝関節の屈曲制限があります。

  4. 歩行は患肢を外方へ振り回して歩く分回し歩行が特徴です。

  5. とくに手術的療法の適応決定には慎重でなければなりません。筋切り術が行われることが多いですが、再発しやすい。

大腿四頭筋短縮症のイラスト

7.分裂膝蓋骨

  1. 先天性です。

  2. 膝蓋骨の上外側の小骨片が分離しているものが多い。

  3. 膝蓋骨骨折と間違えないように注意を要します。

  4. スポーツなどで痛みのあるものには骨片の切除や接合術を行います。

二分膝蓋骨のイラスト

8.膝内障 internal derangement of the knee joint

膝関節は構成骨の形が不安定であるので、半月十字靭帯側副靭帯によって補強されています。それらの障害を一括して膝内障と呼んでいます。
  • 半月損傷 injury of the meniscus
    1. 私たちの国では外側半月損傷のほうが多い。これは円板状半月が外側に多いことによります(円板状半月は断裂しやすい)。欧米では内側が多い。

    2. 原因
      1.内側半月の損傷は、下肢が荷重されて屈曲外転位で大腿が急に内旋されたとき、または大腿が固定されて下腿が急に外旋するときに起こります。

      2.外側半月の損傷機転は内側の場合と逆です。

    3. 症状
      1.急に関節の内あるいは外側に疼痛が起こり、完全伸展不能となり、尖足位でなるべく荷重しないようにして歩きます。

      2.関節は血液・滲出液のため腫脹します。
      ・Watson jonesテスト:膝伸展位を強制すると疼痛を訴えます。
      ・McMurrayテスト、Aplayテスト陽性

      3.陳旧例ではときどき滲出液がたまったり、嵌頓症状 lockingを起こします。

      4.診断は関節造影や関節鏡下により容易に確認されます。
  • 前十字靭帯断裂のイラスト

    前十字靭帯断裂のイラスト

  • 十字靭帯損傷 injury of the cruciate ligament
    1. 前十字靭帯では引き出し症状、後十字靭帯では押し込み症状が陽性にでます。回旋不安定性も生じます。

    2. 関節鏡検査により診断は容易です。

    3. 大腿四頭筋が強力であれば断裂による障害は少ないですが、近年は十字靭帯の縫合術や形成術がよく行われます。
  • 前十字靭帯断裂のイラスト

  • 側副靭帯損傷 injury of the collateral ligament
    1. スキーなどによる外傷で起こります。
    2. 内側が多い。
    3. 側方動揺性を示します。
    4. 症状
      1. 動揺性の少ないものにはギプス固定、高度のものには新鮮例では縫合術、陳旧例では靭帯形成術も行われます。

      2. 複合損傷も多い。十字靭帯、内側側副靭帯、内側半月の合併症unhappy triad(不幸な三徴)と呼ばれ、予後が悪い。

前十字靭帯断裂のイラスト

9.徒手検査法

膝関節徒手検査法のイラスト