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  3. 下肢の疾患/膝・下腿・足部

1.内反膝・外反膝 genu varum,genu valgum

  1. 外傷、くる病Blount病、系統疾患などでみられます。
  2. 生理的には乳児期には内反、幼児期には外反を呈します。

内反膝・外反膝・反張膝のイラスト

2.膝蓋軟骨軟化症 chondromalacia patellae

  1. 主に高年者にみられますが、若年者にも発生します。
  2. 膝蓋骨関節面の軟骨が変性し、亀裂、欠損を生じます。
  3. 膝蓋骨の圧痛、膝不安定感、疼痛などの症状を示します。
  4. やがて膝蓋大腿骨関節症、膝全体の関節症へ発展します。

3.変形性膝関節症 osteoarthritis of the knee

  1. 変形性関節症のうち膝はもっとも多い。
  2. 高年者の女性に多い。
  3. 内側に強い変化がくるものが多い。
  4. 全身検査所見に変化はありません。

  5. 局所所見
    運動開始時の疼痛、関節裂隙の圧痛などがあり、症状の強いものでは関節液の貯留、運動制限、運動(初動時)痛をみます。

  6. X線像
    関節裂隙の狭小化、骨棘の形成、硬化像などが出現します。

  7. 治療
    1. 炎症症状の強いものにはステロイドホルモンの関節内注射が有効。
    2. 内側、外側のいずれかの変形の強い物(多くは内反変形)には脛骨高位骨切り術を行いアライメントを矯正します。
    3. 関節の破壊、症状の高度のものには人工関節置換術を行います。

4.Baker嚢腫

  1. 膝窩に生じる滑液包炎です。しばしば膝関節と連絡します。
  2. 無症状のことが多い。場合により切除術を行います。

5.バネ膝(弾発膝) snapping knee

  1. 膝を伸展するとき、ある一定の角度、たとえば屈曲30°くらいの角度でちょっとひっかかって、その後、ナイフを開くときのように急激に伸びる弾発症状をいいます。
  2. 原因:大部分は半月の異常が原因で起こり、多くは外側半月が円板状となっていたり(円板半月)、断裂したり、肥厚したり、異常可動域をもっていたりします。

6.膝関節水腫 hydrops of the knee joint

  1. 変形性関節症関節リウマチ、外傷性関節症などで、関節液が貯留します。
  2. 膝蓋跳動が陽性にでます。

膝関節跳動のイラスト

7.腓骨神経麻痺 fibular nerve palsy

  1. 腓骨骨頭が後方からギプス包帯や臥床中に圧迫されると、その直下を通る腓骨神経が麻痺を起こします。
  2. 前脛骨筋や趾の伸筋が麻痺するため足関節や趾の伸展ができなくなり、跛行(steppage gait)します。
  3. 足背にしびれや知覚麻痺が現れます。
  4. 重症でなければ自然回復します。

8.脛骨前症候群 tibialis anterior compartment syndrome

  1. 下腿の前筋区画 anterior compartment 内の筋肉の過労や外傷、炎症などで内圧が上昇し循環不全が生じ、その結果、区画内の筋、神経組織の壊死、機能障害をきたす症候群です。

  2. 前筋区画内には、前脛骨筋、趾の伸筋、腓骨神経の深枝、前脛骨動脈・静脈が含まれます。
  3. 脛骨前症候群のイラスト

  4. 症状下腿前面の疼痛、腫脹、硬結、趾の底屈での放散痛、足関節、趾の自動伸展障害、深枝領域の知覚麻痺などが現れます。

  5. 治療:急性でかつひどいものでは、発症から6~8時間以内に広範な筋膜切開を行い、筋区画内圧を減圧します。手遅れになると筋は瘢痕化し、ひどい後遺症を残します。

8.アキレス腱断裂 rupture of the Achilles tendon

  1. 原因:腱皮下断裂中もっとも多い。疾走、跳躍などのさいに起こります。しばしば疼痛とともに断裂音を感じます。

  2. 症状
    1. 完全断裂のことが多い。部分断裂はきわめてまれです。
    2. 断裂部で陥凹をふれ、腓腹筋筋腹をつかみ圧迫すると足底屈が起こりません(Thompsonテスト陽性)。
    3. 足趾の底屈は長、短趾屈筋により可能ですが、つま先立ちはできません。
  3. トンプソンテストのイラスト

  4. 治療:アキレス腱縫合術が一般的です。尖足位でのギプス固定による保存的療法も行われます。

10.アキレス腱周囲炎 achillodynia

  1. アキレス腱部の圧痛、歩行時痛が主症状で、アキレス腱の腱傍組織 paratenon に起こる無腐性炎症です。
  2. ステロイドホルモンの局注が有効です。

11.足の変形

先天性内反足 congenital club foot
  1. 頻度:1,000人に1人、男女比は2:1、両側性が多い。
  2. 生下時発見されます。
  3. 尖足、距踵関節での内反および前足部内転変形を合併します。

  4. 治療:
    1. 1日でも早い方がよい。矯正位でのギプス巻を繰り返し、矯正位を保持できるようになったら、Denis-Browne副子がよく用いられます。
    2. Denis-Browne副子のイラスト

    3. 保存的療法で矯正できないものには、種々の手術が行われます。

    4. 手術療法:
      1.アキレス腱延長術(尖足に対して)
      2.足根関節解離術(内側や後側の足根間の靭帯を切って、足根骨の排列をよくします)
      3.腱移行術(たとえば前脛骨筋の付着部を外側へ移行し外反力を強くします)

麻痺性内反足 paralytic club foot
    腓骨筋の麻痺(腓骨神経浅枝支配)により発生します。

偏平足 pes planus
  1. 足の縦軸アーチが減少する変形。
  2. 治療:足底挿板の装着。

尖足 pes equinus
  1. 下腿三頭筋の拘縮、攣縮(長期臥床、脳性麻痺)、前脛骨筋の麻痺(腓骨神経麻痺)、足関節の疾患などにより発生します。
  2. 治療:
    1. アキレス腱延長術
    2. 骨関節に変形があり、腱延長のみでは矯正不能なものには後方関節包の切離や足根骨間楔状骨切り術を行い矯正します。

12. 足趾の変形

  • ハンマー趾 hammer toe
    1. 足のIP関節屈曲位の変形をいいます。
    2. 固有筋の機能消失、長趾屈筋、伸筋の拘縮で発生します。
    3. リウマチでよくみられます。

  • 外反母趾 hallux valgus
    1. 女性に多い。第1趾はMP関節で外転して亜脱臼位となり、中足骨頭は内側に突出します。
    2. 第1中足骨頭内側の皮下に滑液包炎ができて疼痛を訴えます(bunion)。
    3. 程度のひどいものには、中足骨頭内側の骨突出部の切除、腱移行術(McBride手術)や中足骨の骨切り術による矯正手術が行われます。

足の変形のイラスト

13.足根間症候群 tarsal tunnel syndrome

  1. 脛骨内果後下方より踵骨に付着する屈筋支帯と踵骨凹面が作るトンネルを足根管といい、脛骨神経、後脛骨筋腱、趾屈筋腱、後脛骨動脈が通過します。

  2. ここの圧迫で生ずる症候群で脛骨神経の症状が主です。ガングリオンによる圧迫が多い。

  3. 踵骨靭帯部の圧痛、足底の痛み、知覚障害、趾屈曲力低下などが起こります。

  4. 治療:手術(足根管の屈筋支帯を切離し、開放します)。

内果領域における神経・血管のイラスト

14.Morton病

  1. 中足骨頭の間を通って趾へいく知覚神経が圧迫されて発生する症候群です。ときに神経は肥厚して、神経腫(腫瘍でなく腫れる)を形成します。
  2. 若い女性に多く、荷重で当該部の疼痛と趾への放散痛があります。第3,4中足骨頭の間が好発部位です。
  3. 足底挿板などで経過をみますが、ときに神経腫の切除術も行われます。